お仏壇・仏具のマメ知識

心の悲しみの癒し(グリーフケア)

前回、お仏壇の役割についての続きです。

愛する親族を失うと、誰もが大きな悲しみを感じます。この悲しみを特に「悲嘆(グリーフ)」と呼びます。この特別な悲しみは、人によっては5年ほども続きます。最近ではようやくこの悲しみをいやすこと(グリーフケア)の重要性が認識されるようになってきました。

仏壇を前にして亡くなった親族と会話することは、自分の心の中で亡くなった親族との関係を考え直し、作り直す最高の機会です。この対話を通して、人は悲しみを乗り越えていくことができます。

お仏壇の役割

少し前までは、お仏壇は家の中にあって当然なものでした。お仏壇の前で亡くなられたご家族やご先祖様を供養し、ご本尊様に手を合わせる。そうした行為は日本人にとって当たり前の行為でした。その意味を考えることもありませんでした。現在はなくてもおかしいとは思われなくなりましたが、自分たちでお仏壇の本当の必要性や意味を考えていくことができる時代になったのかもしれません。

仏教の宇宙像を反映する仏壇

仏教の宇宙像は、宗教や経典によって様々で、必ずしも明確ではありません。お釈迦様自身は、宇宙や死後の霊魂の存在などの形而上学的な質問には、悟りには関係ないとして、お応えになりませんでした。ですが、後世、様々な宇宙像が語られるようになりました。

その中の一つである「須弥山宇宙像」では、世界の満内科に「須弥山(スメール)」という大きな山があります。その山頂には帝釈天が住む宮殿があり、さらにその上空には弥勒菩薩の住む兜卒天(兜卒浄土)など、様々な空中宮殿があります。仏様の本体は物質的な世界を超えてるので、須弥山やこれらの宮殿には住んでいらっしゃいません。このような世界が千の3乗個、つまり十億集まったものが宇宙です。これを「三千大千世界」と呼びます。

この「須弥宇宙像」は、古代インドの宇宙像を受けて小乗仏教で作られたのですが、大乗仏教の宇宙像にも大きな影響を与えました。

大乗仏教では、この「三千大千世界」をひとつの「仏国土」と考えて、我々の釈迦如来の仏国土の外、十方に無数の仏国土があり、それぞれに仏様がいらっしゃると考えました。これらの仏国土の中には、西方にある阿弥陀如来の「極楽浄土」のように、いくつもの浄土があると考えられました。

インドにはお釈迦様にゆかりの深い「霊鷲山(ラージギル)」という山があります。『法華教』や『無量寿教』、『般若教』などは、この山で説かれたとされています。『法華教』はお釈迦様が常にこの山にいらっしゃると考えるので、「霊山浄土」と呼ばれます。

密教では、清浄な世界を「曼茶羅」として表します。曼荼羅では、須弥山をモデルにした山の上にある宮殿の中に、仏様達が幾何学的に配置されています。本来の曼荼羅は、物質的な世界の原型になる霊的な世界の存在です。我々の良く見る曼荼羅図は、あくまでも曼荼羅を真上から見て平面に表した図です。真言宗では曼荼羅が表している、大日如来のいる浄土を「密厳浄土」と呼びます。

「浄土」という言葉は中国で生まれた言葉です。インドの仏教が考えた様々な清浄な世界を総称して「浄土」と呼んだのです。仏壇には「須弥山」や様々な浄土のイメージが表されているのでしょう。

 

北九州のお仏壇・ 仏具 せいぜん

お仏壇とは?

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多くの日本人にとってお仏壇は、お位牌と共にご先祖様や亡くなった親族をお祀りし、対話をするためのものでしょう。

ですが、「仏壇」本来の意味は、文字通り、仏像や仏具を飾り、仏様を祀る台のことです。家庭のお仏壇は、寺院にあるお仏壇(内陣)を小型にして、厨子と一体化して箱型にしたものです。ですから、お仏壇は家の中のお寺のような存在です。 続きを読む